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【問】 特許紛争は悪か?!

少し前になりますが、日経ビジネス5月21日号の中で、グーグルのCEOであるラリー・ペイジ氏のコメントに基づく記事が掲載されていました。

記事の中で、ペイジ氏はハイテク業界全体が知的財産権訴訟に注意が傾いており、優れた製品開発ではなく、弁護士などに巨額の費用が使われていることを嘆いていました。ペイジ氏がリバタリアンかどうかはわかりませんが、仮にリバタリアンだとして、リバタリアニズムの考えからいえば、特許権などの知的財産権は市場における自由競争を阻害するものでしかなく、なぜそのようなものについて争って、肝心の製品で競争しないのか、理解に苦しむのでしょうね。

では、知的財産権の制度自体がなくなればどうなるのでしょうか? 市場は資力の大きいものが勝つようになると思われます。そして、資力が大きいもの同士が争えば、やがて互いに疲弊することになるでしょう。現在のテレビ産業に起こっているような事態です。知的財産権制度が失効しないとしても、制度が機能していなければ、同じ事態が起きると思います。つまり、行き過ぎた特許権の実質無効化(過度の標準化)などは、産業をただただ疲弊させるだけなのではないでしょうか。

一方、現実に目を向けると、知的財産権制度は存在します。たとえそれが社会ルールとして、自然の摂理とは関係なく、人為的に作られた制度だとしても、確かに「存在」するのです。そうである以上、知的財産権制度を蔑ろにしても良いという理由はなく、納税や社会保険制度と同じく、事業活動を続ける上で当然に考慮しなければならない制度だと思います。弁護士や弁理士等の費用は、前もって計上し得ないとまではいえないでしょうし。

表題の問いに戻って、「特許紛争は悪か?」については、私の答えは「No」です。むしろ、特許権を持っているのであれば、権利を行使するのは当然のように思います。権利というものは、相手との関係においてはじめて意味をなすもの。無人島に1人でいて、そこに茂る1本の木の所有権を主張しても意味がありません。しかし、無人島に2人以上いるのであれば話は別。それと同じで、市場に競業者がいるのであれば、権利行使を念頭において、知的財産権制度を考慮にいれた事業活動を続けなければなりません。それが現実であり、相手に権利行使されたからといって、決して降って湧いた災難とはいえないと思います。

権利行使をするための特許権。お客様がそのような特許権を取得するのをサポートするのが、私の使命だと思っています。

弁理士 森本 敏明

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