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【考】 生命の神秘

ライフサイエンス分野の発明を扱っていると、世の中まだまだわからないことだらけなんだなと感じてしまいます。

モリモト特許商標事務所少し振り返ると、バイオテクノロジー分野は1970年代頃から急速に発展してきました。特にPCRやシークエンシング技術が普及すると、遺伝子組み換え実験が当たり前になり、次々と各生物の遺伝子解析がなされていきました。ヒトもその例外ではなく、「ゲノムプロジェクト」という名称を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。

現在までに、ヒトゲノム(塩基配列)はほぼ解読されています。遺伝子のおおよその数も推定されています。では、これらの情報を基にして、ヒトの成り立ちを説明できるのでしょうか? 答えは「No」です。遺伝子情報を基に、ある事象(疾病など)が発生する、または発生しないことについて、「確率」や「可能性」には触れることができるのでしょうが、断定するにまでは至っていません。

たとえば、風邪をひいたら熱が出ます。この仕組みを完全に答えられる人はいるのでしょうか。免疫細胞の活性至適温度が高温付近にあるとか、高温になればウイルスに悪影響を与えることができるなどといわれていますが、明快な答えは出ていません。もちろん、複合的な要因があるのでしょうが、完全解明には至っていないのです。

キリンの首がないのも、ゾウの鼻が長いのも、ウサギの耳が長いのも、おそらく謎のままです。ヒトゲノムが解読されれば、ヒト、ひいては生命の真理に近づける。そう思った人は多かったと思います。なぜなら、高等動物であるヒトについて知り得ることができれば、他の動物についても理解できるであろうと考えたのです。今では、この考えは全くの誤りであることは、ライフサイエンスをかじったことがある者であれば誰でも理解していることです。

けっきょくのところ、謎は謎として残されており、生命の神秘は健在です。「今からライフサイエンスに手を付けるのは、遅過ぎるのでは・・・」。決してそんなことはありません。チャンスは十分にあります。「」に優しい商品を作りたいのであれば、もっと「ヒト」について研究を進めて欲しいと思います。

弁理士 森本 敏明

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