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【日本】 大きくて小さい国

日本は、GDP的にも人口的にも、世界有数の国です。一方で、日本の市場で勝てれば、海外に打って出なくてもいい、というわけではないことは、誰もが頭の中では理解していることだと思います。
世界の2010年のGDPランキングを見ると、世界経済フォーラム(World Economic Forum)の「The Global Competitiveness Report 2011-2012」によれば次のようになっています。
モリモト特許商標事務所
表では1ドル=80円で換算した値を用いています。日本は第3位にありますが、第1位のアメリカには大きく引き離されています。また、上位10ヶ国に対する日本の割合は13.2%。世界的に視野に立てば、日本はたかだか10数%の市場しかないということです。

世界の2010年の人口ランキングを見てみると、次のようになっています。

モリモト特許商標事務所
日本は第10位。上位10ヶ国に対する日本の割合は3.1%でしかありません。「人財」という面では、GDPの第1位、第2位のアメリカや中国は恵まれています。成長を続ける基盤があると言っても良いのかもしれません。同様に、GDP、人口ともに上位のブラジルとインドは、これから益々の経済発展が見込めるかもしれません。もちろん、人口は諸刃の剣であり、経済が悪化すると、人口の多さが足枷になって、一気にインフレから飢餓などの問題に発展する可能性があります。

我が国、日本に話を戻すと、この先どうなるのでしょうか? 現在の出生率を見ると、人口がこの先増えていくとは思えません。GDP上位国に対して、日本の教育が充実しているということもないでしょう。そうすると、GDPがこの先さらに伸びていくとは考えにくいので、GDPはこの先横這いか、インドやブラジル、あるいはロシア(GDP第11位)などの国々の発展に伴って緩やかに減少していくと考えるのが妥当ではないでしょうか。

さて、ここからは特許の話です。
特許権の存続期間は、原則として、特許出願の日から20年間です(特許法67条1項)。特許権は現在、そして未来の事業の発展のためにあるといえるのです。

日本という市場は大変魅力的ですが、それだけで十分と考えるのは得策ではありません。ぜひとも、広い視野で、現在だけではなく、10年、20年先を見据えて事業展開して欲しい。特許の仕事をしているとそう思います。

仮に発明が日本人のためだけになされたもの(そのようなものが存在するかはわかりませんが)である場合は、日本国のみで特許を取得するのもいいでしょう。しかし、そうではない場合、利益を優先するのであれば、世界各国で特許権を取得することの意義は非常に大きいといえるでしょう。

そうはいっても、全世界で特許権を取得することは事実上不可能です。GDPや人口といった基本的なデータだけではなく、セグメント毎の市場規模を見据える必要があります。ここで言いたいのは、間違っても、「世界進出なんて未だ早い。」と諦めることのないようにして欲しいということです。そして、世界規模で特許を取得するタイミングを逸しないように気をつけていただきたいのです。

日本という国は、大きくて小さい国。市場規模の観点では、現在は大きな国かもしれませんが、将来的には相対的に小さな国になる可能性があります。外国出願について迷われている方は、ぜひご一報ください。

弁理士 森本 敏明

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