【納得】得意なこと、そうではないこと
大好きなアメリカン・フットボールから、感慨深いエピソードを紹介します。
アメリカでは、大学王者を決めるCFP National Championshipが、日本時間の1/21(火)9:30より行われます。
戦うのは、オハイオ州立大学とノートルダム大学で、両校ともに名門中の名門。
どちらが勝ってもおかしくはないのですが、オフェンス力のあるオハイオ州立大学が有利かなと思っています。
さて、そのオハイオ州立大学ですが、ヘッドコーチ(HC)を努めるのはライアン・デイ(49歳)です。HCは日本でいうところの監督ですね。
そして、HCの脇を固めるのが、オフェンス担当のオフェンシブ・コーディネーター(OC)とディフェンス担当のディフェンシブ・コーディネーター(DC)です。
HCは、OC/DCに指示を出すことの他、タイムアウトを使うなどのゲーム全体の流れについてコントロールします。
平たくいえば、HCが総責任者で、その直属の部下がOC/DCとなります。ただ、OC/DCはそれぞれオフェンス、ディフェンスのスキームを自ら考えなければならないので、会社の管理職でたとえるなら、HCは社長職だとしても、OC/DCは実行力が試される課長職といえるでしょうか。
オハイオ州立大学のOCを務めるのはチップ・ケリー(61歳)です。ライアン・デイHCをオフェンス面から支えます。
ライアン・デイHCは、大学時代は選手としてQBを務めていました。そのときのOCが実はチップ・ケリーだったのです。
その後、大学を卒業したライアン・デイはコーチの道を歩みました。下積みから徐々に実績を上げて、幾つかの大学でOCを務めるようになりました。並々ならぬ努力だったと思います。
その後、プロリーグであるNFLのフィラデルフィア・イーグルスのOCとして招聘されています。そのときのイーグルスのHCはやっぱりチップ・ケリーでした。
チップ・ケリーはその後にサンフランシスコ・49ersでもHCを務めたのですが、その傍らにいたのはやっぱりライアン・デイ。同じくOCを務めました。
このようにライアン・デイは、選手時代、コーチ時代ともにチップ・ケリーのもとで歩んできたのです。日本的にいえば、二人は師弟関係にあったといっても過言ではありません。
残念ながら、チップ・ケリーはNFLのHCとしては大成しませんでした。オフェンスの天才なのですが、それだけではNFLでは勝てません。むしろ、NFLではオフェンスが良いのは当たり前、ディフェンスをどれだけ良くできるのかがポイントになります。チップ・ケリーはNFL向きではなかったのでしょう。
その後、二人は袂を分かちます。
ライアン・デイはオハイオ州立大学のOCに招かれ、やがて2019年からHCを務めることになり、現在に至ります。
一方、チップ・ケリーは2018年からカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でHCを務めることになりました。これは2023年まで続きます。
ライアン・デイHCが率いるオハイオ州立大学ですが、毎年強いのですが全米王者になるまでには至っていません。
チップ・ケリーHCが率いるUCLAは、強豪というよりも、中堅どころというイメージです。ただ、2023年シーズンは8勝5敗でしたので、2024年シーズンも引き続きHCを務めるのだと思っていました。
そして、アッと驚くことがおきました。2024年シーズン前に、チップ・ケリーがオハイオ州立大学に行くことに決めたのです。しかも、HCではなく、OCとして。
上記のたとえでいうならば、社長職であるHCを辞して、敢えて課長職であるOCを撰んだということです。もちろん、HCを解雇されて、別の大学でOCを務めるというのはよくあります。しかし、現役のHC、しかも名門大学のUCLAでのHCを辞して、オハイオ州立大学のOCに移籍するなんていうことは前代未聞でした。
しかも、移籍したオハイオ州立大学のHCを務めるのが、かつては弟子の関係にあったライアン・デイHC。かつての関係が逆転するわけです。
ライアン・デイに請われたとはいえ、オハイオ州立大学のOCに就いたのはチップ・ケリーの自由意思です。
年齢のこともあるのでしょうが、デフェンスも見なければいけないHCよりも、得意なオフェンスに集中でき、さらにかつて知ったる弟子のもとで、優秀な選手が多いオハイオ州立大学のOCを務めるのが自分にとってより良い環境だと思ったのでしょう。
自分の適性とは何か、経営に向いているのか、実務に向いているのか、それとも別のものか。
そして、自分に不向きなものは何か。
開業時に先輩社長からいただいたアドバイスを思い出します。
やろうとしていることよりも、やらないことをリストアップした方が良い。
自分にとって不得意なことを知っておくべきだと解釈しています。
こだわりがあっても向いていないのであれば、どうしようもありません。それを続けている限り、相手に対してもそうですが、なにより自分を責め続けることになります。
人生とは、自分にとってより良い環境を探すことなのかもしれませんね。
来週行われるチャンピオンシップゲームでは、チップ・ケリーOCが操るオハイオ州立大学のオフェンスが、鉄壁ノートルダム大学ディフェンスにどこまで通用するのかを楽しみにしたいと思います。
ちなみに、ノートルダム大学のHCにもエピソードがあるのですが、それはまたの機会に。
弁理士 森本 敏明
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