【表示】地理的表示の保護対象(八丁味噌問題)
産品の名称は、地理的表示として、保護の対象になります。
地理的表示(GI)保護制度は以下の制度をいいます。
簡単にいえば、ある地域でつくられた飲食品等の産品について、品質の基準などの登録内容を満たせば、地理的表示やGIマークなどを使用してもよい、とする制度です。
地理的表示を使用するためには、登録者団体の一員にならなければなりません。
登録者団体とは、例えば、登録地理的表示「八丁味噌」の場合は、愛知県味噌溜醤油工業協同組合ということになります。
もともと八丁味噌は、徳川家康の生まれた岡崎城から西に八丁(約870m)の距離にある愛知県岡崎市八帖町にて生産されたものをいうとされています。
そして、この町で味噌造りをしている老舗2社は、昔からの伝統製法を守り、八丁味噌として世に送り出してきたようです。
件名の八丁味噌問題なのですが、この老舗2社が登録地理的表示「八丁味噌」の登録者団体に加入していないことに端を発します。
登録地理的表示「八丁味噌」の登録公示はこちらで見ることができます。
登録内容を見ればわかるとおり、愛知県で生産される味噌について登録されています。
そして、「特定農林水産物等の生産の方法」を見る限り、伝統的な昔ながらの工程は見当たりません。
老舗2社としては、このようなことを不服として、登録者団体に加入していないようです。
これによりどういう問題が発生するかというと、老舗2社が地理的表示「八丁味噌」を用いることができなくなる可能性があるということです。
製法はともかくとして、地理的表示を守る制度なわけですから、「八丁」が示す産地範囲はどこまでか、ということが争点になります。
例えば、登録地理的表示「夕張メロン」の 産地は北海道夕張市とされています。
「八丁」の意味するところが、岡崎市八帖町に限定されるのか、愛知県全体を指すのか、私にはわかりません。
登録地理的表示の一覧をみても、産地が特定の町内に限るものもあれば、県全体を産地とするものもあります。
感想をいえば、当事者はもちろんのこと、第三者も納得するような表示になっていないといけないような気がしますが、果たしてどうでしょうか。
登録地理的表示「八丁味噌」については、老舗2社による行政不服審査請求がなされて、農林水産省により裁決が出ています。結果は、請求棄却。裁決の取消を求めるのであれば、争いは法廷に移ります。
地理的表示と産地との関連性については、これからも注視していきたいと思います。
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