【防御】COVID-19とワクチン接種
最近のCOVID-19に関するワクチン接種の話題について、少し触れたいと思います。
最近のニュースで、ワクチン接種後3ヵ月ほどで中和抗体が1/3に減少する、というのがありました。
そして、減少しているのだから、効果がないのではないか、と。
それは、違います。
確かに、ワクチン接種直後は、抗体産生がブーストされて、抗体量が増加します。
そして、その後はだんだんと抗体量が少なくなります。
COVID-19に感染した人も同様の抗体量の変化があり、12ヵ月後には最大産生量の10~20%になるといわれています。
大切なのは、10~20%でも抗体が存在する、ということです。いわゆる免疫記憶ですね。
ワクチン接種やCOVID-19発症の以前は抗体量がゼロだったわけですから、きちんと生体内の免疫が機能している証左です。
そして、再び体内にコロナウイルスが入ってきたときは、抗体を産生するB細胞が増殖し、抗体量が増えるでしょう。
すなわち、生体内に抗コロナウイルス抗体を産生するB細胞が存在するということが大切なのです。
一方、ワクチンの接種を繰り返して、抗体量を高い値に維持するのは危険かもしれません。
抗体は抗原(ウイルス)を中和してくれますが、全く無害というわけではありません。
場合によっては、抗体や抗体を産生するB細胞を介して、自己の正常な細胞や組織が攻撃される可能性があります。自己免疫疾患を誘発するおそれがあるのです。
COVID-19と自己免疫疾患との関連性が注目されており、COVID-19の後遺症は自己免疫疾患によるのではないかともいわれています。
ですので、ワクチンは決められた量及び回数を投与するのが好ましいのではないでしょうか。
ところで、最近のCOVID-19の話題の一つに、組み合わせワクチン接種があります。
アストラゼネカ製の後に、ファイザー製のワクチンを接種するというものです。
これについては、Nature Vol 595 pp.344-345に報告があります。
ファイザー製を2回投与するのと、組み合わせ接種するのとでは、抗体の産生量は変わらないようです。
ただし、T細胞による反応は、組み合わせ接種の方が2倍を超えるそうです。
ここで説明を加えると、一般的に、ワクチン接種の効果の指標とされているのは、抗体産生量です。
しかし、抗体産生量はあくまでも指標であり、全てではありません。
中和抗体はウイルスを認識して、ウイルスが細胞に侵入することを防いでくれます。
一方、ウイルスが侵入した感染細胞の排除には、キラーT細胞をはじめとするT細胞が関与します。
このT細胞の反応が高まると、感染細胞はより排除されることになります。
組み合わせ接種により、T細胞による反応が高まれば、感染細胞が減少し、これによりCOVID-19の重篤度を緩和できる可能性があります。要は、組み合わせ接種により、COVID-19の重篤化を抑えることができる可能性があるのです。
このようなメリットにより、組み合わせ接種が注目されています。
ただ、組み合わせ接種は、多くの副作用が見られるという報告があります。各ワクチンは製造会社が違い、組み合わせ接種の臨床試験はされていないでしょうから、なかなかリスクがあります。国の行政機関が、この辺をどう評価および判断するのでしょうか。
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