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【紙】 ペーパーレス化の取り組み

私どもで取り組んでいることの一つにペーパーレス化があります。

以前は特許庁へ提出する書面の確認は、紙で行っていました。

例えば、特許明細書や中間対応書面であれば、お客様や特許庁へ提出する前に、紙で印刷して、論理矛盾、抜け漏れ、誤記等をチェック(校正)していました。

そして、印刷してチェックの終わった紙は、基本的には包袋に閉じています。

頁数の少ないものであれば大した問題にならないのですが、頁数が多いと、紙の消費量、トナーの消費量、印刷時間など諸々が増大するだけでなく、包袋の厚みが増し、書庫が圧迫されるという問題が生じます。

もちろん、紙に印刷しておくと、ドラフト版と最終版の違いを比較しやすいなどのメリットも、あるといえばあります。ただ、このようなメリットが活かされるのは限定的です。

そこで、なんとかしたいな、と思い、「紙と同じように」タッチペンでチェックできる電子デバイスをあれこれと検討しました。

実際にいろんなデバイスを検討していくと、
①デバイスの画面サイズ
②書き味
③カラー表示
が重要ということに気付き、そして最終的に採用に至ったのが、
iPad Pro 12.9インチ+Apple pencil
という組合せです。

まず、画面サイズですが、やはりA4サイズでないと、文字が小さくなり過ぎて見難い。そして、余白も十分にとることができません。都度ズームしていたのでは効率が悪過ぎます。あくまで、「紙と同じように」というのがコンセプトですから。ということで、画面サイズは12.9インチの一択です。

また、書き味として、Apple pencilであればボールペンと同じような感覚で書けます。遅延が無いのは素晴らしい。絵を描くことを生業にしている人から支持されている理由もわかります。思わず書きたくなる、といっても過言では無い書き心地ですね。

iPadですから、カラーであることは当然です。これにより、校正者ごとに色を分けてチェックすることができます。誰(技術、事務)がチェックしたのか、というのも重要です。

さすがにワードファイルなどを直接チェックはできず、PDFファイルにするという一手間は必要ですが、これは印刷する際にも必要なので、手間とはいえません。

iPadを使用して「iPad校正」を実施した例は以下のとおりです。私どもでは、ダブルチェックやトリプルチェックが基本なので、所内LANサーバーにファイルを置いて、順番にチェックしています。

校正例

 

 

 

 

 

iPad校正のメリットは他にもあります。

例えば、紙の校正では、チェックを入れた箇所がわかりやすいように付箋を付けていました。

しかし、iPad校正では、アプリ側でチェックを入れたページのみを抽出できるので、修正漏れを防ぐことができます。これは、便利かつ重要な機能です。

書くのも消すのも自由自在というのもいいですね。

さらに、iPadは、HDMIアダプターを用意すれば、画面をそのままモニターに映すことができます。会議室に置いてあるモニターに画面を写して、スタッフ同席のもとでチェックしながら、「ここはこういう風に書くんだよ」といったようなOJTもできます。

iPad校正を導入して半年以上が過ぎましたが、首尾は上々です。スタッフも、今ではこちらの方が便利といっています。

そして、紙の消費量ですが、印刷カウンターをみると、iPad校正により20%以上の削減ができています。

もちろん、送付状や請求書、お客様にお送りする書面などは紙でなければならないので、さらなる削減は難しいかもしれませんが、今のところは満足しています。

一方で、紙で印刷しているものとして、特許審査において発送される拒絶理由通知書で挙げられている引用文献があります。これもまた、包袋の厚みを増す原因になっています。これをどうにかできないものか、と思案中です。

iPad校正のデメリットは、紙と違ってデバイスの充電が必要なこと、同時的に複数の校正者によって別々の書面をチェックすることから複数のデバイスが必要になり、初期投資が嵩むこと、などが挙げられるでしょうか。

正直、このような使い方では、iPad Proはオーバースペックです。カメラはいらないし、ディスク容量も少なくていい。そういったビジネス用の廉価iPadが出てくれたらなー、という思いがあります。

費用対効果はなんともいえませんが、iPad校正に慣れてしまった今、紙の校正を重視することは無い、とはいえます。

 

弁理士 森本 敏明

To the NEXT STAGE ~知的財産を活用して次なる段階へ~

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