【心配】アカデミア科学者のメンタルヘルス
アカデミア科学者には相当なプレッシャーがかかっているだろうなと思っていたら、やっぱり、という内容でした。
Nature Vol.595 p.135-137に、大学は、在学生だけではなく、卒業生のメンタルヘルスについてもケアしなければならないのではないか、という記事が載っています。
記事によれば、世界的に、76%以上のphD学生が週40時間以上働き、約40%がワーク・ライフ・バランスに不満をもっているといいます。
また、21%のphD科学者はハラスメントや差別を経験して、その割合は女性科学者ほど高いということです。
アカデミア科学者には尋常ではないプレッシャーがありつつ、閉鎖的な社会なので、普通の会社では問題になるようなことが顕在化し難いのでしょう。
大学に在籍する科学者の場合は教育も担わなければならず、それが負担になる場合もあります。
そして、求められるのは結果。
日本の場合は定量主義なので、質よりも量を求める傾向にあります。これが良いのか悪いのか。知人の中には、ポストに応募するために、手当たり次第に論文を出しまくったという話もあります。
さらに、科学者の数に対してポストの数が少なく、それなのにポストが空席になり難い。
そして、研究にはお金がつきものです。
私がロンドン大学インペリアルカレッジに留学していた頃、研究室の掲示板には、「●●(研究者名)、研究費●●ポンド獲得、おめでとう!」という掲示が数多くありました。
海外の場合、研究室に残って研究を続けるには、スポンサーから研究資金を得なければ研究を続けられません。国によって違うのでしょうが、世界は厳しいな、と思ったものです。
閉じられた世界で、大きなプレッシャーの中で研究を続けるのは、メンタル的にとてもタフなことですね。
日本でも、科学者のメンタルヘルスケアについては、ぜひとも議論して欲しいと思います。
ところで、記事中、研究者を受け入れる大学として、ドイツの大学が多いことに気付きます。
これはドイツの移民政策と関係しているのでしょうか。
優秀な世界の科学者には日本で研究をして欲しいとは思いますが、そうなると日本人のポストは益々少なくなりますからね。悩ましい問題です。
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弁理士 森本 敏明
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