【考】 ブランドの同時利用率
とある書籍を読んでいたら、興味深いデータが載っていました。
その書籍というのは、小川孔輔著「マクドナルド 失敗の本質」です。
全般的に興味深かったのですが、内容の賛否やマクドナルドの経営戦略がどうなのかということに、触れるつもりはありません。
仮に現在の経営戦略がうまくいっていないとしても、それは過程の中の結果に過ぎず、考えてチャレンジを続けている限りは敬意を表します。
一方で、マクドナルドに限らず、ハンバーガーチェーン店全般にいえることですが、アメリカナイズされ過ぎて、和の心をあまり重要視しなくなったのではないか、とは思います。
日本の消費を考えるときに、最も重要視すべきことは、日本人は日本や日本のものが大好き、ということです。
やはり、ここから離れてはいけないでしょう。
東京ディズニーランドでは、和食レストラン「れすとらん北斎」の予約はいつでも満杯です。
プロ野球やJリーグには興味がなくても、メジャーリーグや海外のサッカークラブで活躍している日本人選手を追いかけている人は相当数いることでしょう。
「洋の中の和を求める。」
私自身もそうなのでよくわかるのですが、それが日本人の気質だと思います。
それとは別に、ハンバーガーの消費が落ちた理由の一つとして、和食が食べられる機会、例えば、お寿司を手軽に食べられる機会(回転寿司チェーンの台頭)が増えた、というのもあるかもしれません。
◆ ◆ ◆
冒頭に戻って、興味深いデータというのは、本書の158頁に記載されている「他ブランドの同時利用率」のデータです。
これは、各ブランド(マクドナルドなど)が他のどのブランドと一緒に利用されているのかを表しています。
その中で気になったのは、モスバーガーを利用している人は、他のブランドを利用している人よりも、スターバックスをより多く利用しているというデータです。
データを引用すると、以下のとおりとなります。
(1)モスバーガーの利用者→スターバックスの利用率:47.3%
(2)マクドナルドの利用者→スターバックスの利用率:31.9%
(3)吉野家の利用者→スターバックスの利用率:29.5%
上記のとおり、(1)の利用率は際立っています。
この理由について考察すると、女性利用者というキーワードが容易に浮かび上がってきます。
すなわち、モスバーガー・スターバックスともに、マクドナルド・吉野屋と比べて、女性利用者が多いのではないでしょうか。
もちろん、女性利用者が増えれば増えるほど良い、というものではありません。
逆に、男性は入りづらくなり、男性の利用者が減ることになるでしょう。
要はバランスの問題だと思うのですが、そのバランスを保つのはなかなかに難しいことです。
これは事業全般にいえることでもあります。
◆ ◆ ◆
最後に余談ですが、先に挙げた書籍は、事実と意見・考察とがきちんと切り分けられており、非常に読みやすかったです。
企業分析の書籍を執筆する方などには、良いお手本になります。
弁理士 森本 敏明
To the NEXT STAGE ~知的財産を活用して次なる段階へ~
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