【評】 書籍「感染症の世界史」
COVID-19を通じて、感染症に興味をもたれたのであれば、こちらはオススメです。
表紙の絵はなんとかならなかったのかな、と思うのが、今回紹介する「感染症の世界史」。
中身はいたってマジメな、疾患と統計を中心とする書籍です。
一部では、予言の書のようにも扱われています。新型感染症が中国で流行する、という記載があるからです。文庫本の発行日が2018年1月。COVID-19前です。
予言というよりも、現状をみれば、その可能性がある、というものでしょうか。
要は、家畜の飼育環境、なんでもありの市場、野生生物の食肉化、などを考えれば、新たなウイルスが発生し、新たな感染症が発症する可能性はあり、中国は人口も多いので爆発的に流行する可能性がある、というものです。
まぁ、そのとおりになりました。
ただ、中国としてもこの点は問題にしており、規制が進んでいます。今後に期待するしかないでしょう。WHOやアメリカの調査団を入れない、というのは問題がありますけれど。
本書の著者は、元新聞記者ということで、感染症のメカニズムなどについての記載はありません。
過去にどういう感染症が世界で流行したか、疾病者や致死率はどの程度だったのか、どういう推移を辿ったのか、などが克明に記載されています。
一つ例を挙げれば、エボラ熱。原因は、アフリカのある村で、コウモリを焼いて食べる風習があって、そのコウモリを食べた子供が感染し、そして家族が感染し、村が感染した、といわれています。
当初は致死率が高かったエボラ熱ですが、やがて下がってきています。もちろん、医療関係者による甚大な努力の賜というのもありますが、一方で人間が種(コウモリ)の敵とみなされなくなり、新たな宿主として認められた可能性もあります。
本書を読めば、COVID-19が過去に世界的に流行したスペイン風邪に似ていることがわかります。
スペイン風邪は一度治まったと思ったところに、再度流行したというのが特徴です。そして、その原因は、インフルエンザウイルス。
おそらく政府は専門家から意見を聞くなりして、インフルエンザワクチンの増産を要請したのでしょう。
生物学的にも、特定のウイルスで弱っている種を別のウイルスが攻撃する、というのは理に適っています。例年は見送っていても、重症化を防ぐために、今年はインフルエンザウイルスのワクチン接種をすべきかと思います。
一方で、感染症は、遺伝病などと違って、きちんと対処できる疾患です。
無駄に怖がらなくても、過去の例を調べるなどして、知識を身につけて、冷静に対処できます。
Natureのサイトをみれば、COVID-19の論文を読むことができます。
今必要なことは、COVID-19についての正しい情報を仕入れることだと思います。
弁理士 森本 敏明
To the NEXT STAGE ~知的財産を活用して次なる段階へ~
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