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【地】 日本という国の市場

昨日は、日本のみならず、世界各国で特許権を取得することの重要性について触れました。ここで誤解して欲しくないのは、最も重要視すべきなのは日本の市場であることに変わりはないということです。

GDP第3位、人口第10位。このような今ある巨大市場を無視するのは非常にもったいないことです。

先日、とある小規模の会社様に伺ったときのことです。社長さんがおっしゃるには、「日本で勝負するのは厳しい。これからは中国で勝負をする。」とのことでした。

中国で勝負をするのはいいのですが、日本でブランド力を築けていない場合は、どうしても価格競争に入らざるを得ないと思います。そのことをコメントしたところ、社長さんは「う~ん。」と腕組みをして黙ってしまいました。しかし、よくよく話を聞いてみると、会社内には優秀な人財が揃っているとのこと。就職難の昨今、有名国立大学の博士号取得者が中小企業に就職する時代です。この会社様にも高学歴の社員がたくさんいるようでした。

しかし、そのような優秀な人財をうまく生かしきれていない。そこに問題があるように思いました。できれば、保有技術を開示していただき、特許になりそうなものは権利化して、それを足掛かりに日本そして海外の市場へ参入する方法を助言させていただきたかったのですが、押し売りになるのもどうかと思いまして、その日は方法論だけをアドバイスしてその会社様を後にしました。

話は逸れましたが、日本の市場を蔑ろにして、海外で成功を収めようというのは、かなりリスクがあるように思います。そして、日本人であるならば、日本の企業であるならば、地の利を活かさない手はないのではないでしょうか。

日本の市場は十分に魅力のあるものだと思います。そうでないと、ヨーロッパなどの地理的に不利な外国企業がわざわざ日本に進出しようとは思わないはずです。弊所・弊社においても、海外の企業様から、日本の市場への進出のための様々な依頼をいただいています。その度に、「海外からすれば、日本という国は非常に魅力があるのだなぁ。」と思ってしまいます。

もちろん、規制などの関係で、日本に先んじて海外に進出するという選択肢はあり得ます。たとえば、医薬品の場合は、海外の方が臨床試験を進めやすいという事情があります。日本の大手製薬メーカーの多くは、海外での臨床試験結果を基に、日本で薬事申請を進めるという戦略をとっています。しかし、この場合でも明らかなのは、日本の市場を無視するようなことはしていないということです。

日本の市場をまず抑えるか、外国の市場を先に抑えるか、それとも水平展開して世界同時進出を図るか、それは企業規模や商品・サービスの内容によって変わってくるでしょう。しかし、我々日本国民は、日本語という特殊な言語を使い、大陸と切り離された島国であるが故の特殊な環境を熟知しているのですから、それらを活かさない手はないと思います。

長々と書きましたが、要は、日本企業にとって、日本という国の市場は非常に重要だということです。

弁理士 森本 敏明

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