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【医薬】日本でのワクチンの技術開発

 

第一三共株式会社の社長、真鍋淳氏が日経ビジネスのインタビューに応えています(日経ビジネス No.2095, pp.58-61)。

 

インタビューによれば、第一三共はCOVID-19向けワクチンの開発を進めていて、現在は臨床試験を実施しており、来年の実用化を目指しています。

この中で、日本でのワクチン開発が進まないことについて、幾つか言及しています。

一つは、日本には米国の疾病対策センター(CDC)のような国家機関がないこと。

バイオテロに備える米国とはリスク管理の考え方が違っているのでしょうね。

結果として、ワクチン開発をしようとすると、すべて自前でしなければなりません。これは一企業にとってはかなりの負担ですね。

SARS、MERSなどの感染症が日本に入ってこなかったことも理由に挙げています。

過去に前例がなかったことから、一から準備をはじめなければならなかったということです。

以前に紹介したとおり、COVID-19向けワクチンはRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンといった新しいタイプのワクチン。インフルエンザワクチンのような従来のワクチンの延長線上にはないので、技術的な面でも、日本は後塵を拝したのでしょう。

COVID-19向けワクチンは事業性は期待できないという発言もあります。個人的には、ここが一番の問題点だと思います。

やがて収束するであろう疾病ですし、そうなれば投資を回収することが難しくなります。製品単位ではなく、今回培った技術を今後どう活かすかが問題になるのでしょう。

まとめると、日本にはワクチン開発をリードする国家機関が無く、技術も無く、さらに収益の見込みも無い。

無い無い尽しですが、幸いにも、COVID-19については、すでに外国企業によるワクチンが日本に入ってきています。

問題は、第2、第3のCOVID-19について、どう備えるかでしょうね。

先の大戦で死傷した数は、病死によるものが最も多いといわれています。病気を患った捕虜は積極的に相手に返された、という話も。

まだ渦中ではありますが、そうであるが故に、その後を考えていかなければならないのかもしれませんね。

あと、インタビューの中では特許権の放棄についても触れています。

放棄したところで、ワクチンの安定供給には結びつかないであろう、と答えています。

全くそのとおりですし、個人的には、国家自身が有する特許権はともかく、企業等が有する私有財産である特許権を政治の道具に使うのはいかがなものか、という考えでいます。こちらについてはいずれまた触れるかも知れません。

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弁理士 森本 敏明

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