1. TOP
  2. 知的財産
  3. 【統計】特許異議申立の傾向

【統計】特許異議申立の傾向

 

特許異議申立の傾向について調べてみました。

 

特許異議申立の統計情報については、特許庁のウェブサイトに記載があります。

ただ、件数や維持・取消率については記載がありますが、もう少し個々の情報について詳細が知りたいところです。

そこで、少し調べてみました。

知りたかったのは、分野別の異議申立率。特に、全体の申立率との関係です。

登録日が2019年内のものを母数(171,407件)とすると、そのうち異議申立された特許の数は955件でした。その割合は、0.56%。これが基準となります。

そして、各分野のものについて調べた結果が以下のグラフになります。

左軸が異議申立された特許(登録)数、右軸が各分野の異議申立率になります。

上記グラフからは、平均の異議申立率(赤点線;0.56%)に対して、異議申立率が高い分野のものもあればそうでないものがあることがわかります。

そして、突出して高いのは、化学分野と繊維分野の特許。平均の3倍ほどあります。特許をとられて困るものが多くあるのでしょう。

特に、繊維分野は、対象となる発明の多くは紙類。ノートや書籍などだけではなく、オムツや段ボールなど、様々な用途で使われています。紙をはじめとする繊維分野については、各社せめぎ合っているのがわかります。

化学は、化合物、高分子、組成物など様々ですね。こちらもまた各社牽制し合っている様子がうかがえます。

ちなみに、化学分野と繊維分野は、私どもが最も得意とする分野の一つです。

一方、機械分野、ソフトウェア分野(一般構造物を含む)、電気分野の異議申立率は低いようです。

グラフ中にあるとおり、これらの分野の登録数の合計は全体の過半数を占めています。

日本の全体の出願数は減っていますが、その要因になっているのはこれらの分野の出願数が減っているからです。

分野によっては減るどころか増えている分野もあります。例えば、異議申立率の高い繊維分野の特許出願などがそうです。

特許異議申立の数だけでどうこういうことはできませんが、争いの多い分野は技術開発の競争も激しいといえるのかもしれません。

世間一般で廃れた技術だとか、これ以上進歩の見込めない技術だとかいわれるものがありますが、そんなものは世の中にない、というのが持論です。

例えば、私が学生から会社員時代にかけて研究してきた発酵・培養技術は、いくらでも研究のタネはあると思うのですが、日本の大学で研究されているところは今や少ないのではないでしょうか。これについてはいずれ別の機会に触れたいと思います。

話を戻すと、競争がある限り、廃れることなどあり得ないと思っています。

競争がなく、同調路線で進んでいる技術はありますが、それでいいのでしょうか。品質を確認するための試験に関する技術などは別ですけれども。

個人的には、競争相手に独占排他的な権利を取得されても涼しい顔ができる、という理屈がわかりません。

■ ■ ■

本記事を含め、当ブログの内容についてご意見・ご質問のある方は、Twitterにて、ハッシュタグ「#モリモトブログ」をつけて、気軽につぶやいてください。

当所の公式アカウント(@pa_morimoto)に直接メッセージをいただいても結構です。

いただいたご意見・ご質問は、Twitterにて、あるいは当ブログにて回答させていただく場合があります。

宜しくお願い申し上げます。

 

弁理士 森本 敏明

To the NEXT STAGE ~知的財産を活用して次なる段階へ~

>>> [化学、バイオの特許出願なら] モリモト特許商標事務所
>>> [化学、バイオの特許調査なら] (株)モリモト・アンド・アソシエーツ

他の弁理士の皆様のブログはこちら↓
http://samurai.blogmura.com/benrishi/

* RSS FEED