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【感】 講演を終えて

本ブログでも告知させていただいたとおり、先週土曜日に、「食品発明における特許権侵害訴訟~切り餅事件を中心に~」というタイトルで講演させていただきました。

モリモト特許商標事務所/(株)モリモト・アンド・アソシエーツ当日は三連休の初日ということもあり、正直、出席者は少ないのだろうな、と思っていました。会場入りも30分前で良いかなと思って、近くのコーヒーショップで待機していました。ところが、会場に着いてみると、すでに多数の出席者が見えられていました。もう少し早く会場に着いて、出席者の方々とお話させていただいておけば、と反省した次第です。ちなみに、講演会の様子は写真のとおりです。三人席が概ね埋まっており、50~60人の出席者の方がいたようです。

今回の講演は、食品技術士センターという、技術士が集まった会でさせていただきました。出席者のほとんどが会員や技術士かと思っていたのですが、そうではなく、一般の方も多数おられたとか。ありがたいことです。このことには、講演幹事様も驚かれていたようです。

今回の講演では特に気を付けたことがあります。今回の題材は裁判例。スライドは、自然と文字が多くなります。スライドの文字を読み上げるのでは、聞いている方としては苦痛にしか感じないでしょう。苦痛に感じた途端に、瞼が下がってきます。これは仕方がないことです。

そこで今回は、参加者の皆様に裁判所における専門委員になっていただきました。専門委員となって裁判官に助言するとすれば何を言うのか、この点を考えて聞いて欲しいとお願いさせていただいたのです。自分の立ち位置が不明だとどういう風に聞いて良いものか迷うもの。そこで、ロールプレイング形式で聴講するようお願いしたのです。そして、特許庁、東京地裁、知財高裁のそれぞれの判断を解説した後に、判断の是非についてお聞きしました。時間の関係から、わずかでしたが、少数意見の方にも発言いただいたりもしました。こういうことを織り交ぜながら、なんとか講演を苦痛に思われないように工夫しようと思ったのですね。これらのことが効を奏したのか、講演後に、「興味深く聞けた。」、「面白かった。」という声をちょうだいしました。ありがたいことです。また、同じテーマで社内研修をしてくれないか、との依頼もいただきました。快諾したのは言うまでもありません。

さて、今回の切餅事件。争点はいくつかありますが、最大の争点は特許請求の範囲の文言解釈です。技術者(発明者)の方からすれば、「そんなこと、どうでもいいんじゃないの。」と、つい思ってしまいそうになる事項です。しかし、そういう事項で争われるのが、特許権侵害訴訟。これが現実なのです。そのことを確認するという意味で、本事件は発明者である研究者、開発者、技術者の方にこそ見知っていただきたい事件です。知財教育の一環として取り入れるのには格好の材料であると、私は強く思います。

弁理士 森本 敏明

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