【外国】 シンガポール審査請求制度
おはようございます。弁理士の森本敏明です。
シンガポールの審査請求制度は少し特殊な形をとっています。これはシンガポール特許庁の審査を実施する体勢が整っていないことに起因するようです。
2004年7月1日以降の出願については、 審査手続において、「Fast Track」と「Slow Track」と呼ばれる2種の手続が可能です。前者は、審査手続が短期的になる傾向があり、早期の権利取得を目指す際に利用される手続です。それに対して、後者は、手続期間に余裕がありますので、特許を取得するのか否かを慌てずに検討できます。
これらの手続の違いは手続期間にあり、やらなければならないことには変わりはありません。Slow Trackの場合だと、Fast Trackの場合の手続期間に18ヶ月加えられます。PCT経由で優先日から30ヶ月間近でシンガポールに国内移行する際は、Slow Trackを選ぶのが一般的といえるでしょうか。ちなみに、Slow Track手続をとるに際してOfficial Feeは発生しません。
Fast TrackとSlow Trackのいずれを選ぶにせよ、以下の5つのルートを選択する必要があります。
ルートAとルートBは予備審査報告または対応外国出願において特許要件が認められている場合、そのクレームと同一のものであれば請求によって特許が付与されるというものです。手続期間は、Fast Trackでは優先日から42ヶ月、Slow Trackでは優先日から60ヶ月です。
ルートC~Eは、期限ギリギリで国内移行するのであれば、Slow Trackを選ばざるを得ません。その場合、これらの手続期間は優先日から39ヶ月となります。
ルートCは調査請求および審査請求をすることにより実体審査に付されるようにする手続。日本の審査請求制度に似ています。ルートDおよびルートEは、それぞれ対応外国出願のOfficial Actionまたは国際調査報告とともに審査請求するという手続となります。
では、実際にどのルートを選べばよいのでしょうか?
国際予備審査や対応外国出願において特許要件を満たすとされたクレームがあるのであれば、ルートAやルートBを選ぶということもあり得ます。しかし、Slow Trackにせよ、優先日から60ヶ月までに必ず用意できるという保証がないのであれば、このルートを選ぶにはリスクがあります。
そうするとルートC~Eの中から選ぶということになりますが、ルートCは一から審査をするわけですから、ルートDやルートEと比べてOfficial Feeは高くなります。また、PCT経由であれば通常は国際調査報告を受けているので、これらを総合的に勘案するとルートEを選択するのが無難といえるかもしれません。もちろん、ケースによって異なりますので、一概にはいえないことをご了承ください。担当されている弁理士や現地代理人と慎重に相談した上で、お決めください。
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