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【迷】米国特許法101条の行方

昨年から今年にかけて、米国特許法101条に関するガイダンス作成の動きが活発化しています。

Myriad最高裁判決、それに先んじてなされたMayo最高裁判決を受けて、「guidance memorandum」が公表されたのが、2014年3月。

この二つの最高裁判決は、バイオ関連発明に関するものであり、いわゆる「Naturally occurring substances」(天然存在物)については、原則として、特許適格性がないというように判示しています。

その後、Alice最高裁判決を受けて、2014年12月に「Interim Eligibility Guidance」が公表されました。

これにより、特許適格性がないとされる「Abstract Ideas」の範囲が広がり、ソフトウェア関連発明の特許化が難しくなったように思われます。

さらに、2015年7月にInterim Eligibility Guidanceの「UPDATE」が公表されて、10月28日までパブリック・コメントを受け付けていました。

近い将来、パブリック・コメントを反映した何らかの動きがあると思われます。

ただ、通常であれば、「Interim」が外れた正式なガイダンスが公表されるはずですが、このガイダンスについて反対する意見が多くあると思われますので、すんなりと正式なガイダンスが公表されるかといえば微妙です。

このような動きを受けて、101条について、USPTO審査官の間でどのような運用がなされているのかというと、統一された判断はなされていない、というのが実務を通じた感想です。

審査官ごとに、又は同一の審査官であっても発明ごとに、その判断が違ってくるとさえいわれています。

例えば、101条の判断に、進歩性(非自明性)の有無が判断されるという現地代理人もいれば、そうではないという現地代理人もいます。

この点、私見でいえば、これまで非自明性の判断では軽視されがちだった発明の効果について、101条の判断では何らかの影響を与えているように思えます。

ただ、発明の効果に重きをおかれると、バイオ発明は有利ですが、ソフトウェア発明は不利だといえるでしょう。

ソフトウェア発明は効果を期待して構成されるのですから、ソフトウェア発明に予期し得ない効果や予期するのが難しい効果を期待するのは酷です。

そのような傾向が上記最高裁判決を引用した判決にみられますので、「Subject Matter Eligibility Court Decisions」をぜひ参考にしてください。

モリモト特許商標事務所では、米国特許法101条については、今後も注視していきます。

 

弁理士 森本 敏明

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